退職、解雇、辞職の違い

労働契約の終了に伴って解雇、退職、辞職等のこれらの言葉が曖昧に使われていることが見受けられる。そのため、労使トラブルが発生していることもあり、その違いをしっかり知ることも無用なトラブルを避けるためには必要である。

まず解雇とは、使用者が一方的に労働契約を解除すること。

「辞めてくれないか」 と労働者に申入れた場合、これは「労働契約終了の申し入れ」に過ぎず、原則としてこれは自由。

労働者の心情においては「解雇」に等しいものかもしれませんが、あくまでも「労働契約終了の申し入れ」「退職勧奨」

問題はここから先。

これに労働者が同意した場合は、双方が合意して労働契約を解除することですから、解雇とはならず、あくまでも「会社都合による退職」である。

言い換えれば、労働者が 辞めたくないとの意思表示 を行い、それでも辞めてもらうと使用者が主張することが「解雇」となるのである。

労使間の社労士の立ち位置は、まちまちであるが、私の立ち位置は一生懸命頑張っている経営者をサポートする立場。

「解雇か退職か」の紛争を避けるためにこのような場合は、必ず合意書を作成するようにしている。

解雇の場合、解雇権の乱用(解雇の正当性)や即日解雇による 解雇予告手当 の支払いが争いになるケースが多々あり、少なくとも使用者は絶対に「解雇」の言葉を使かってはいけない。
そうは言っても同意をするまで、暗に退職を強制をしてはいけない。

また、期間の定めのある労働契約 の場合、「やむを得ない事由」がない限り、期間中途の解雇はできません。もし、その期間中に解雇を行った場合には、労働契約期間中の本来、受領すべき賃金を労働者から求められる可能性もある。

いずれにしろ、どうしても解雇しなければならないときには、30日前に予告するか即日解雇の場合は平均賃金の30日分以上の支払い( 解雇予告手当 )が必要とされてますが、解雇は「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その 権利を濫用 したものとして、これを無効とする」(労働契約法第16条 )とされていることは特筆すべきである。

仮に裁判等で解雇無効が主張され、解雇無効となった場合は、職場復帰をさせる必要がある。
また現実的には争ったわけであるから職場復帰をしないことも多々あり、その場合の解決金は年収の2年間分以上(数百万〜数千万円)に及ぶケースもある。

辞職(一般的には一身上の都合とか、自己都合退職と表される)とは、労働者が一方的に労働契約を解除することであり、民法では原則として 2週間前に申し出れば辞職可能 。

会社の承認は不要。ただし、先ほどと同様に期間の定めのある労働契約の場合は労働者に「やむを得ない事由」や会社の承認がなければ、場合によっては、債務不履行となり損害賠償義務が労働者に生じる可能性があるが、現実にはほとんど無い。

よくある話が会社の就業規則で、「退職は1ヶ月前に申し出ること」などの規定がある場合が多いですが、民法で定めた2週間を延長することは出来ないなどの判断が判例である。

ただ通常はそのような民法の規定を知っているわけではなく、また円満退職を求めており、その規則に従っているのである。

日本は資本主義と言われながら、労使の関係では首をかしげたくなることも多々あり、解雇は非常にハードルが高いことをしっかりと理解しておくことが必要である。
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by kt-sr | 2013-01-12 17:05 | 労働法

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